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名古屋を拠点とする設計事務所です。
日本建築協会会報『建築と社会』3月号に『清里・茅野建築の旅』と題した紀行文を掲載いただきました。

2017.10に日本建築協会東海支部主催の視察旅行に参加させていただき、充実した建築見学の機会を得ました。関係者の皆様ありがとうございました。





今月から友人とシェアで、ある住宅を借りています。

世界的に有名な建築家の安藤忠雄氏
(現在では環境保護活動等、第一線の文化人として
建築以外にも様々な活動をされていらっしゃいます)
彼がまだ若かりしころ設計された住宅です。

友人がその住宅を借りたというので、見学させてもらいました。
30年も前に建てられたその住宅に、言葉にならない程の衝撃を受けてしまい
シェアさせてもらうことになったのです。

鉄筋コンクリート打ち放しの住宅。
外観・内観の仕上として打ち放しの建築物は多いのですが
そのような建築とは一線を画すものでした。

壁はコンクリートのみ。
仕上なし
断熱なし(極寒です)
屋上のパラペット(外周部の立ち上がり)上面に防水なし
(これは、見方によっては”雨漏りしてもよい”という考え方と捉えられかねないのです。友人は、コンクリートを密実に打てば防水は必要ないという考え方もあると言っていましたが、一般的な施工精度ではちょっと難しいのではないかな・・・と)
・・・非常に衝撃でした。

それらはもちろん設計上の不注意なのではなく、
「暖かく、涼しく、雨が漏らず、快適な家」
という住宅に対する暗黙の機能すらも覆し
「生活する」という事を住まい手に問い直している訳です。

築後30年の歴史は感じるけれども
古びた印象はまったく与えない点なども含め、

「家」というよりは「地形」とでも呼んだ方がふさわしい構築物でした。

住宅の設計はクライアントとの共同作業です。
どんなに建築としてすばらしそうな住宅を設計したとしても
それがクライアントに愛されないものであれば
まったく無意味と私は考えます。

アバンギャルドさと
クライアントが30年以上も大切に使い続ける愛着
そして美しい空間デザイン
これらが両立している安藤氏の力量

そしてこの決して一般的でない建築を
受け入れ、30年以上住みこなして来た
クライアントの度量

ここには建築家とクライアントに
相当な信頼関係が成り立っていたのだろうと
想像できます。

現れ出ている建築自体は
私が目指すすまいの形とは遠いものでしたが

スタイルではなく、一般的な指標でもなく
クライアントにとって本当に必要なものを一つ一つ問うこと

を心がけて打合せ・設計をしている私自身のスタンスは
間違ってなかったのだと確信が持てたと同時に

建築の可能性の広がりを見せられ、背中を押された様な気分になりました。

さてさて
その日家に戻ると4歳の息子が一言
「おそとのおうち、また行こうね。」

「おそとのおうち」・・・うーん、確かに、
室内も「おそと」みたいではあった。
子どもの感性って素直だなぁとしみじみ感じたのでありました。
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建築を中心に、家具からまちづくりまで。心地よい生活環境をさまざまなスケールで考え実現することをテーマとしています。
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